(前書き)
これまで寺院に出向いたときの私はと言えば
ホトケさまのどこかに着目して見たことは一度もなく
全体の佇まいや雰囲気から感じるものを何となく持ち帰る、といった具合。正直、興味があるとは言い難いものでした。
観音ガールによるこの授業の後
高月観音の里歴史民俗資料館へ出向いた私は
30分を予定していたところ1時間半ほど滞在。
もっと居たい気持ちを抑えて資料館を後に。
さて、私にこんな変化をもたらした授業はどんなものだったのか?
開催報告を兼ねて一部ご紹介します。
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まずは「いも観音さん」の由来を聞き、
特別展示に至る経緯を教えていただいた。
「いも観音さん」の収められていたお堂の老朽化に伴い、
修繕費用をクラウドファンディングで募ったところ、なんと目標を大きく上回って達成。
お堂の修繕に際し、収められていた全部で10躯(く)のホトケさま(すべて「いも観音さん」)を資料館で特別展示しているという。
続いて
観音ガールの目線で、”ココがぐっとくる!”という推しポイントを織り交ぜながら、それぞれのいも観音さんを「安念寺の親分」「癒し系」「ギャップ萌え」「セクスィー」などと題し紹介。
言葉の端々に「いも観音さん」への愛が感じられる温かいものでした。
以下にその一部を。
<”ここが推し”ポイント>
☆資料館でしか見れないポイントがある!
☞全体として見れる、様々な角度から見れる、お堂では見れなかったところが見れるなど
☆見る角度(上下左右、斜め)で表情が違って見える
☆表情・体形の萌え(くびれ、背中の大きさなど)
☆螺髪(らほつ)の並び方・密度・形状は時代によって違いがある
☞螺髪で時代が分かったりすることもある
☆朽ち(欠損)具合、朽ちてこそ感じられるものがある
☞完成体では見られない
☆朽ちてもその年輪がうまい具合に体の一部を表現しているように計算された作り
☆節があるということは、いわくつきの霊木から作られたという証
☞節はあるか?と見れる
☆針葉樹から彫出されるが、中をくりぬいて作るものと、そのままのものがある
☞それぞれに意味あり。後ろ姿は堂ではみられない
☆いずれも作られた当初は漆が塗られていた痕跡があるそうだが
木から生まれ、朽ちていき、土に還り、またいずれ木となる
☞その様は自然崇拝にも通ずるところがあるのではないか
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高貴な人々、限られた人々ではなく、「一般庶民の間で」「身近に」親しまれてきた「いも観音さん」。
人知の力でどうにもできないこと・思いに対峙した時の落としどころ・心の拠り所として、日々の中に生きてきたのだろうなと感じました。
その他にも、秘仏のご開帳に関する疑問などについても興味深いお話が聞け、授業終了時間が過ぎても楽しい時間が流れていました。
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(編集後記)
「いも観音さん」が作られた当時と比べ、現代は科学技術が発展し、人々の生活も便利になり、
多くの「できなかったこと」が「できる」ように、
多くの「分からなかったこと」が「分かる」ようになった一方で、
「どうにもできないこと」「分からないこと」はそれでも数多く存在します。
日々を生きる上で必要なある種の「諦め」を持つこと、
「どうにもならないこと」「分からないこと」を許すことが
真相究明から逃げたように、そうする努力をしなかったように感じられることもあるでしょう。
いろんな狭間を行ったり来たりしながら迷うとき、古来の人々が心と体を寄せてきた「いも観音さん」に触れてみる。そんな時間を持つのもいいかもしれません。
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「いも観音さん」特別展示情報
《時》令和3年5/12-7/19 (9:00-17:00/入館は16:30まで) ※当初の期間より延長
火曜日休館
《場所》高月観音の里歴史民俗資料館2階展示室にて特別陳列
(〒529-0233 滋賀県長浜市高月町渡岸寺229)
《入館料》一般300円(団体250円) / 小中学生150円(団体130円)
(長浜市内・米原市内の小中学生は無料)
障害者手帳・療育手帳提示で本人と付き添い1名無料
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次回コミュカレは・・・
7/19(水) 19時からオンラインにて
「新型コロナウイルスについて聞こう わたしたちの1年をはなそう」
浅井東診療所 医師松井善典センセイの話を聞いた後、みんなの年表トーク!
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